≪NEW≫ ~外国人雇用の現場から~Vol.10 在留資格制度の基本を知る
在留資格制度の基本を知る
〇今年も外国人採用は拡大します
2025年が始まりました。引き続き、外国人支援の専門家として皆様のお役に立てるように精進して参ります。
今年も日本全国で外国人の採用は拡大していきそうですね。人材不足が大きな要因ですが、外国人採用が一般化してきたことも大きな要因でしょう。日本の企業にとって外国人の採用はもはや特殊なことではなくなりました。
外国人を採用するときに、まず気を付けなければいけないのは「在留資格」です。年始でもありますし、今回は改めて外国人採用の基本知識である「在留資格」についてお伝えしていきたいと思います。
〇日本に滞在するには在留資格が必要
日本の在留資格は29種類あり、大きく分けると「日本での活動に応じた在留資格」と、「身分や地位に応じた在留資格」があります。
出典:出入国在留管理庁
「日本での活動に応じた在留資格」から説明します。
例えば、外国人が調理店でコックとして働きたいと思ったら「技能」の在留資格を取る必要があります。建設現場で働くなら「技能実習」もしくは「特定技能」、ITプログラマーなら「技術・人文知識・国際業務」、歌手としてライブをするなら「興行」、日本語学校に留学するなら「留学」などです。
このように外国人はその活動に応じた在留資格を取得して、ようやく日本に滞在することが出来るのです。
そして、取得した在留資格に応じて、活動内容が制限されます。
調理人の在留資格を持っている人は、調理の仕事以外はしてはいけません。仮にこの調理人の方が日本語と中国語がペラペラでも、通訳の仕事に就くことは出来ません。調理のみです。
ITプログラマーの在留資格を持っている人が体力自慢だったとしても、建設現場で働くことは出来ません。
このように本人の能力や意思とは別に、取得した在留資格で働ける内容が決まるのです。これが「日本での活動に応じた在留資格」です。
【参考】:コラム ~外国人雇用の現場から~Vol.5 不法就労ってどんなこと?
次に「身分や地位に応じた在留資格」を説明します。
例えば、日本人と結婚した外国人は「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することが出来ます。過去に日本から移住した人々の子孫で日系三世のであれば「定住者」、日本に長期間住んでいて、一定の要件を満たすと「永住者」の在留資格を取得できます。
また、これらの「身分や地位に応じた在留資格」の外国人は日本での活動内容に制限がありません。つまり、「永住者」や「定住者」の在留資格を持っている人は、どんな仕事をしても大丈夫です。
〇採用担当者は在留資格制度を知っておかなくてはいけない
「日本での活動に応じた在留資格」と「身分や地位に応じた在留資格」を説明しましたが、どんな仕事でも対応可能な「永住者」や「定住者」の外国人を採用出来ることは稀です。
となると、「日本での活動に応じた在留資格」での外国人を採用することが多くなり、企業の採用担当者は「この仕事だったら、この在留資格が対象になる」ということを知っていなければならないです。
また、外国人を採用後も、「この外国人の在留資格は~~だから、任せていい仕事内容は~~だ」ということを理解した上で仕事の指示をする必要があります。
例えば、ホテルで調理人として働いている外国人(在留資格「技能」)が、「手が空いているときはベットメイキングをしますよ」とありがたい申し出があったとしても、任せては駄目です。
特定技能や技能実習の外国人を採用する際は、基本的にキャリアバンクのような仲介企業がサポートしてくれるので、あまり心配はないかと思います。高度人材や留学生の採用時にはお気をつけください。
在留資格制度について不明な点があれば、お気軽にキャリアバンクにご相談ください。
キャリアバンク株式会社
取締役 海外事業部 部長
水田充彦
行政書士/社会保険労務士/日本語教師 有資格者。
外国人の採用・定着支援や自治体の多文化共生支援を専門とする。日本全国で外国人採用関連のセミナーを200回以上実施し、地域の外国人雇用の現状に精通。アジア圏を中心に50回以上の海外渡航歴があり、現地の送出機関や教育機関と豊富なネットワークを持つ。