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~外国人雇用の現場から~Vol.6 外国人が日本で生活するのは大変です

外国人が日本で生活するのは大変です

外国人が日本で生活すると、必ずと言っていいほど多くの困難に直面します。そりゃ言葉も違うし、文化や生活習慣が違うので、外国人にとって日本の生活は分からないことだらけだと思います。細かいことではやゴミ捨てのルールや公共機関の乗り方、大きいことでは宗教による食文化や慣習の違いなどで困っている外国人はたくさんいます。

日本には現在340万人を超える外国人が住んでいますが、これからもっと増えるでしょう。10~20年後には1000万人を超えるかもしれません。外国人との共生をどのように図っていくのか、これは日本全国各地での大きな課題です。今回は「日本の生活で外国人がどんなことに困っているか」という内容を見ていきたいと思います。

よく聞くのが、外国人は家を借りるのが難しい、銀行口座を作るのが大変、イスラム教徒だけどハラルフードがどこで購入できるか分からない、といった内容です。確かに外国人に家を貸したくない大家さんも多いし、金融機関は厳しいです。ハラルフードが何かも分からない日本人も多いと思います。 ちなみにハラルフードとは、イスラムの教えで「食べてよい」とされている食べ物で、逆に「食べてはいけないもの」とは代表的なものでは豚肉とアルコールなどです。

例えば、当社のインドネシア社員(イスラム教徒)から聞いた話では、「外食をしたくても豚肉が入っているかどうか分からないので外食できない」とか「買い物のときに原材料を見ても、豚肉か入っているか分からないことがあり、安心できない」など、食事に随分苦労しているようです。

また、イスラム教徒は一日5回のお祈りや、ラマダンと呼ばれる断食の時期があったりします。イスラム教徒の外国人を労働者として受け入れる企業はこういった慣習をしっかり理解しておく必要があります。

もちろんイスラム教徒だけではなく、留学生を中心に増えているネパール人の多くはヒンドゥー教徒ですし、フィリピン人の多くはキリスト教徒です。ヒンドゥー教徒は牛肉を食べないとかキリスト教徒は日曜の礼拝を大切にしているなど、それぞれの宗教に応じて配慮すべきことも変わってきます。

ゴミ捨てでも困っている外国人は多いです。諸外国に比べて日本のごみの分別ルールは随分と厳しいようで、日本で長年住んでいる外国人ですらいまだに資源ごみや金属製品、食品トレイなどの捨て方が分からない人もいます。まあ、この問題は日本人でも複雑に感じることなので、自治体ごとのゴミの捨て方のサイト見るしかないと思いますが。

意外なところでは、家の掃除の仕方に困っている外国人も多くいるようです。「母国では床をホウキと雑巾で掃除していて掃除機の使い方が分からない」とか、「湿気でカビが生えやすい」「カビキラーやキッチンブリーチの使い方が分からない」「トイレの清掃道具が分からない」など様々なことに困っているようです。確かにこういったことは日本の各家庭で時間をかけて身につけていく風習ですね。

その他にも、当社のネパール人の社員は「ネパールでは慣習としてご飯を手で食べるので、箸が使えなくて日本のバイト先で困った」とか「ネパールでは電車が無いので乗り方が全く分からなかった」とか「調理用の油を買ったつもりがみりんだった」とか、色んな苦労をしたようです。

当社では多くの特定技能外国人の生活支援をしていますし、運営する日本語学校(札幌、佐賀)でも毎年数百名の留学生を迎え入れています。

彼らが日本に入国するときには空港に迎えに行き、役所への転入届、銀行で口座開設、携帯の契約、生活必需品の購入などを一緒にしていますが、確かに外国人が日本で生活するのは大変だなと実感します。

最近では全国で多くの自治体が積極的に外国人支援に取り組もうとしてくれています。私も様々な自治体から多文化共生に関するセミナー講師の依頼を受ける機会が増えてきました。この分野に関心が高まることは大変嬉しいことです。

今までは行政における外国人の支援というと、日本語教室の設置や災害時の避難案内、宗教的な配慮、孤立を防ぐための交流会などが中心でした。こういった王道の支援は継続しつつも、今回見てきたような外国人の細かな困りごとをいかに解決していくかが、外国人の地域の定着にとても大切だと思います。